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【1868_三浦綾子_積木の箱(下)_朝日新聞出版社】
著者:三浦綾子
朝日新聞出版社

 一郎の良心を信じ、罪を責めずに庇い続ける杉浦悠二。しかし、自身に素直でない一郎にはどれだけ言葉を重ねても届かない。悠二の行いは無駄だったのだろうか。
 善人と悪しき人がはっきりと分かれているけれども、物語は読者の思うように物語は進んでいかない。もどかしくもあり、元教師の三浦綾子さんだから描けたようにも感じる。
 氷点で「罪」とは人の愚かさ、醜さ、弱さ、傲慢さなど、まさに負の感情についてこれでもかと表現されていたが、本作品においても、人間のエゴや欲望の膨張によって互いに傷つけ抹殺しあう出口のないような人間関係の葛藤が描かれているが、三浦綾子さんの作品から、そういった負の感情を描き上げるすさまじいほどの力量を感じざるを得ない。
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