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書題名順1-915
【1136_明治維新という過ち:日本を滅・・】
著者:原田伊織
毎日ワンズ

 「明治維新」をテロだと言う。現代の言葉で表現するならばその通りだろう。さらに、現代風で言えば、慶応3年大政奉還により江戸は無血で政権交代が実現したが、にも関わらず、翌年から鳥羽伏見の戦いを機に戊辰戦争が始まってしまう。会津藩の戦死者は、戦闘に巻き込まれた農民や女性も含め2,400名(2,634人 旧会藩士戦死名簿)が戦死する惨劇であったが、まさに、権力の殺戮行為といっても過言ではないだろう。西南戦争はそれから11年後の明治10年であり、明治政府は反対勢力を徹底して殺戮した。
 著者は、現代の歴史は、勝者の歴史が正当化されているに過ぎないという。これは、戦前の日中戦争、大東亜戦争において、連合国が主張するいわゆる日本にとっての自虐史が正当化されている状況と同じであろう。
 歴史に詳しくない方が読まれると、おそらく、幕末の人物たちのイメージが大きく変わってしまうかもしれないが、それもまた歴史の一面でもある。
 吉田松陰は「松下村塾」では水戸学を教えていたとされる。松下村塾では久坂玄瑞、吉田稔麿、高杉晋作、初代総理大臣の伊藤博文、第3、9代総理大臣山県有朋が学んでいる。松下村塾で学んだのはほんのわずかな期間でしかないのに、彼らは、水戸の尊王攘夷思想の影響を受けて、幕末の倒幕運動の中心として活躍し、最終的に明治政府を樹立、天皇を頂点とする国家を築いた。松下村塾こそが、テロの本家本元であったとも言っても過言ではないだろう。
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